落ち込んでいる彼に「頑張ろうよ」と言うのは逆効果なの!?

「恋愛ベタさん」のための話し方カウンセリング【相談１０】

ポジティブで前向きな性格のアラフォー女子・由紀。

ある日、仲のいい彼（金丸くん）と仕事の後、食事へ。彼は、仕事でミスをして落ち込でいるよう。

由紀は〈ここはわたしの出番かな〉と、彼を一生懸命に励ましているけど、彼の表情はいっこうに晴れない。彼はなんで元気にならないの!?

■彼との会話内容は……

彼が仕事で大きなミスをしてしまい、会社に損害を出してしまった。そのミスをなんとかフォローしたけど、彼は自信をなくしてしまい、今後の仕事が心配な模様。

◆金丸「なんか、オレ、今後の仕事が自分にできるかどうか不安になってきちゃって……」

◇由紀「なに言ってんのよ！　金丸くんならできるから頑張ろうよ」

◆金丸「オレなりに頑張ってみたよ。でも、そんなに簡単じゃないなって……」

◇由紀「そうやって自信なくすのが一番よくないよ。やればできるからやってみようよ！」

◆金丸「そんなこと言われても……」

■まず、彼の気持ちを受け止める

由紀さんはさえない顔つきの彼を元気にしようと、強く励ましたつもりなのですが、結果は彼を当惑させただけとなり、なんだか気まずい雰囲気になってしまったようです。

どこが問題か、どうすればよいか、考えてみましょう。

◆金丸「なんか、オレ、今後の仕事が自分にできるかどうか不安になってきちゃって……」

◇由紀「なに言ってんのよ！　金丸くんならできるから頑張ろうよ」

由紀さんは、明るくて前向きな性格。

落ち込んでもすぐに立ち直る、元気いっぱいの女性ですが、ショックを受けて弱気になっている彼の気持ちをわかってあげるのは、苦手なようですね。

あなたなら、気落ちして沈んでいる男性に、どんな言葉をかけますか？

「そんな暗い顔してないで、元気を出しなよ」

つい、こんな言葉を発したくなりますよね。

元気に励ませば、それが相手に伝わって、沈んだ気持ちを拭ってあげられる。そんなふうに思いがちです。その結果、

「頑張ってね」

「頑張ればなんとかなるから」

などの言葉は、人を励ます際の定番になっています。

ですが、これらの言葉を言われた彼にすれば、すでに「頑張っている」んです。それでもうまくいかないから、落ち込んでいるのです。彼は内心、

〈そう言われても〉　

と、戸惑うのではないでしょうか。

由紀さんのようにポジティブに考えられる人は「頑張れば大丈夫」でも、そうはいかない人もたくさんいるのです。

あえて言うとすれば、

「よく頑張ったよね」

まず、頑張っている姿を受け止め、肯定しましょう。

それでも、「オレなりに頑張ったけど」「大変すぎて」という気持ちが、彼にはのしかかっているのです。

■励ましの言葉が上から見線になっていない？

◇由紀「そうやって自信なくすのが一番よくないよ。やればできるからやってみようよ！」

◆金丸「そんなこと言われても……」

自分では彼を気づかって、元気になってもらおうと、「自信を無くすのが一番よくない」とか「やればできるから」と、励ましているつもり。でも、どこかに、

「ほら、私はなにかあっても、いつも元気なんだから」

「落ち込んだりしないんだから」

など、一段上に立って、ものを言っているところが出てしまうのです。

人は「頑張って」に、上から目線を感じて、

〈そう言われても〉

と、違和感を覚えるのです。中には、

〈あなたになにがわかる？　ほっといてよ〉

と、反発する人もいます。

大事なのは、自分のやり方に相手を合わせるのでなく、相手の気持ちに自分を近づけるように努めることです。そうすれば最初のセリフは、

「そうか、やっぱり不安なんだ」

となり、その上で

「大変だったんだね。でも、わたしは金丸くんだったら大丈夫って思ってるよ」

相手を信頼していることを伝えられるでしょう。

■彼の弱いところをはじめて見せてもらった

彼が、今まで見せたことのない落ち込んだ姿を由紀さんに見せているのです。これは彼との関係を深めていく、とても大事なきっかけです。

こんなとき、「頑張って」と言って放り出すのでなく、そばにいて相手を受け止めていく。そして、心から彼を信じて、

「あなたなら、大丈夫」

この一言があることで、相手も心を落ち着かせることができるでしょう。

今後も〈またなにかあったら、彼女に話そう〉と思ってもらえるように、彼の気持ちを大事にしてください。

《今回のポイント》

・まずは、彼の気持ちを受け止めて肯定する

・励まし言葉が上から目線になっていないか注意して！

・「彼が弱いところを見せてくれた」これは、二人の関係を深める大事な「きっかけ」