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「愛のホルモン」が幸福感を生み、心身を美しくする

「愛のホルモン」が幸福感を生み、心身を美しくする

“愛の快感”は幸せの最高級サプリ【第1回】

恋愛科学カウンセラーの荒牧佳代さんが「愛の本質」や「結婚の概念」を解き明かしていくコラム。相手への気持ちが「好き」から「愛する」に変化しはじめたあなたへのメッセージがギュッと詰まっています。

 

◆「愛」は願っても、すぐには得られないもの

aramaki-01話目まだ恋もしていない人が「“愛”とはなに?」と思うのは、普通であり自然な感情です。恋人同士なら、縁あって出会ったふたりが互いを支え合った末に感じる感情が愛です。

 

恋愛の学びは、一生をかけて学んでいくもの。育った環境は、人の人生に多大な影響を与えます。無防備な幼き頃に、両親や保護者から否応なしに刷り込まれる良くも悪くもある概念を、思春期に目覚める自我とともに一生をかけて自問自答しながら克服して行くのが人の人生であり成長です。

その、人としての成長の過程にあるものが「恋」であり、結果が「愛」です。

恋を学んでいない人が、いきなり愛を学べません。

大切なのは、「愛を得るために恋のステージに立つ」こと。それが心身ともに健全に生きる術につながると自覚することです。

 

◆「愛される」ことで幸福を感じられる理由

人間のカラダのシステムは、とても優れています。

その優秀さは、男女が惹かれ合う「恋愛のシステム」でも実感することができます。

脳の深部の原始的な爬虫類脳に位置する報酬系のネットワーク(恋の中核)に、覚醒系の快感ホルモンである「ドーパミン」が大量に分泌されると、恋する気持ちが暴走します。

でも、好きな相手とめでたくカップルになれれば、別名「愛のホルモン」と呼ばれる鎮静系ホルモンの「セロトニン」が分泌され、ドーパミンの暴走が鎮静。精神が安定し、心のバランスが整います。

つまり、恋は報われる(報酬を得る)ことにより心が安定し、幸せを感じるのです。

 

セロトニンは人の心を安定させるだけでなく、愛し合っているカップルの絆をより深め、幸せな日々を送れるよう導いてくれます。また、心の底から通じ合える愛あるセックスをすると、グレードの高いワンランク上の愛のホルモン「βエンドルフィン」が分泌され、ふわんとした心穏やかな幸福感で満ち溢れます。

 

恋から愛へのステップアップで分泌されるホルモンの数々は、人の心身を健康に美しく艶やかに導くための天然の最高級サプリなのです。

 

人間は文明社会をつくり上げた賢い動物です。動物的な本能で快感を得ても、文化的な価値観で精神的に満たされなければ、本当の意味で幸せを感じません。文明社会では、本能のままに生きるだけでは必ずトラブルが起きます。現代は本能を活かすよう画策する理性を育てることが本当の理性ある賢い生き方でしょう。

 

◆恋愛における「セックス」の意味とは?

恋愛は、コミュニケーションの1つです。

言葉は、ときに感情を表現するアイテムになりますが、人間の感情表現は言葉だけでなく、ボディランゲージやセックスでも表すことができます。

ことにセックスに関しては恋愛では欠かせません。ひとくちにセックスといっても、人間のセックスには以下の3つの意味があります。

(※参考文献:セックスカウンセリング[監修/日本性科学会])

 

【1】生殖        → すべての動物に共通

【2】快楽・快感     → 高等動物の特徴

【3】コミュニケーション → 人間特有の特徴

 

そして、以下の社会的な3つの事柄が絡むと大きく影響され変化すると私は考えます。

 

[1]育った環境や価値観 → 土地柄、家族構成、物事の捉え方など

[2]恋愛経験      → 異性との体験値

[3]世界情勢      → 世の中の動き

 

性活動は世界各国の文化により制限されやすいので、特に[3]の世情による男女への影響は多大なものがあると考えられます。

実際、日本で女性の社会進出が顕著になればなるほど、男性の女性への求愛活動の一部が奇異に目立ち、注目を浴びるようになりました。それが“草食男子”です。草食男子は女性へ向けたコミュニケーションの変化球(カーブ)です。直球(ストレート)ではありません。かつて直球こそが男としての力であり、力を誇示できる特権だったのに、女性からの好意を感じながらも、あえて変化球で気持ちを伝えようとする男性が急増したのです。

 

◆セックスは、快楽・快感によるコミュニケーション

さて、ここでまたセックスの意味にもどります。

【1】の生殖は、皆さん本能としてよくご存知なので、ここでは省きますが、【2】の快楽・快感については少し触れておきましょう。

人間は、避妊具というものを発明して発達させ、「避妊」という動物界では誠にめずらしい行為をはじめました。もともと人間は、他の動物より大脳皮質(前頭連合野)が非常に発達した生き物なため、理性を上手に働かせ、セックスの対象を選んだり性欲が必要以上に暴れないようにコントロールしたりすることができます。それに「避妊」という知恵も加わったため、発情期はもちろんのこと、セックスでもたらされる快楽や快感を自由に得ることに成功したのです。

ですから、避妊さえすれば、生殖なくしてセックスの快楽や快感を好きな人とのコミュニケーションに利用できるようになったのです。性の快楽だけならマスターベーションで事足りますが、あえてパートナーとの性行為を求めるのは、「性行動がカラダを用いたコミュニケーション」だと認識しているからだと参考文献の医師団も分析しています。

 

「単に、勃起、挿入、オルガズムだけを求めるのではなく、『安らぎ』の感覚やパートナーとの『一体感』、『充足感』が性的感覚をさらに高め満足感をもたらすのです。また、セックスレスになっても、スキンシップとして性行為が保持されるのも、コミュニケーションとしての要素が人間にとっては重要だからです」とのこと。

 

人間の五感(視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚)を通し、好きな人のカラダの温かさや柔らかさ、香りやしぐさなどを「感じる」ことは、人間が人間らしく生きるために必要で、とても大切なことです。すれ違いやすい男女だからこそ「歩み寄り」のためのコミュニケーションが重要視されるのです。

 

ただし、多数の異性と関係を持って快感に走り溺れるだけでは、健康を害すか不貞行為をして社会で罰せられるかになるだけ。

また、「人づき合いが面倒」だからと、自分以外の人の温かさに触れないのは、心満たされず寂しいだけ。

人は、スキンシップだけでも先に述べた愛のホルモンであるセロトニンやβエンドルフィンが分泌され、幸福感に包まれます。この【愛の快感】は、恋の快感以上です。恋愛ではドキドキの恋のときめきのみが、刺激が強いので注目されがちですが、本当は【愛の快感】こそ、人間にとって珠玉で極上の快感。忘れずにいたいですね。

 

 

 

連載 結婚観

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    ライタープロフィール

    荒牧佳代

    あらまき かよ

    恋愛科学研究所 所長。
    株式会社Kスタジオ 代表取締役。
    恋愛科学カウンセラー。医療アナリスト。ビジュアルデザイナー。
    脳内ホルモンと個人の性格や行動を関連させ、恋愛、結婚、会社経営など、さまざまなテーマを分析。コラム執筆、セミナーなどを行う。
    『荒牧佳代オフィシャルブログ』

    http://ameblo.jp/yumacute/

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