なぜ、漫画『ワンピース』は、カップルにも人気なの？

心理カウンセラーが斬る！　メディア恋愛論【第３回】

漫画『ワンピース』は、男女共に楽しめるストーリーが魅力。「ワンピース好き」という共通点から、「どんな場面が好き？」というやりとりで、2人の距離が縮むことも。

好きな漫画の共通点が恋愛にもたらす効果とは？

■漫画『ワンピース』から「好き」の共通点を探す

少年漫画というと、一昔前は女性にとっては、「男の世界」という印象があったのではないだろうか。しかし現代では、少年漫画に女性がハマるのも、まったく不思議ではない世の中になった。

特に漫画作品の『ワンピース』は、ストーリーの魅力以外にも、多種多様な側面があり、それは読者によって心に響く角度が多様に存在していることにもなる。個性に溢れたキャラクターが数多く、自分を自分に近いキャラクターに投影できるところが、男女問わず人気が高い理由かもしれない。特に、男性キャラの豊富さはピカイチではないだろうか。

そのような作品の魅力から、カップルで「ワンピース好き」というケースも少なくない。

それは単純に『ワンピース』ファンという分母が多いから…とも言えるが、実はそれ以外にも理由があるように思う。

まず、内容にほとんど恋愛の要素がない。あってもギャグ的な感じで描かれている。

人は、漫画のキャラやストーリーに自分自身や人生を投影してしまう。恋愛漫画はまさにそうで、その漫画のキャラに恋をしてしまい、理想と現実のギャップを感じてリアルな恋ができなくなってしまうなんてこともある。

少年漫画でも、少なからずそういった要素がある。しかし『ワンピース』には、そういった要素がまったくない。

だから、リアルな恋愛にマンガ内の幻想を抱くこともなく、純粋に「好き」の共通点を男女で楽しむことが出来るのではないだろうか。

■「好き」の共通点は、恋活・婚活の武器になる

僕は恋愛や婚活のセミナーで、参加者によくお互いの共通点探しのゲームをしてもらう。

それには2つの効果があるからだ。

まず、1つめは「共通点があると会話を弾ませやすい」こと。

最近はコミュニケーションが苦手という人が多いように感じるが、自分と相手に共通点があることで、会話が弾み、良い印象を相手に与えることができる。どんな共通点でもよいが、『ワンピース』が共通点である利点は、話題に尽きないということだ。

泣けたところ、笑えたところ、グッと来たところ、展開予想、好きなキャラ、好きなシーン、ジャンプ派、コミック派、アニメ派、など。そして毎週連載していることから、毎週新たな話題を提供してくれていることにもなる。

もう1つは、「親密度が増す」こと。

例えば、共通点を探すために相手に質問する場合、「お寿司が好き」と「寿司ネタはシャコが好き」では、どっちが親密度が増すか？　当然、「シャコが好き」の方ではないだろうか。このようにニッチな共通点を見つけることが出来ると、会って間もない人でも親密度はグッと増す。

それが、絶えることのない情報提供をしてくれ、奥深いストーリー性からも、深堀りしていけば、ニッチな共通点を見つけられる『ワンピース』という媒体ではないだろうか。

同様に、その他の人気の漫画、アニメ作品でも「好き」という共通点から距離を近づけられることがある。

■ただし、「好き」の押し売りはしないほうがいい

とはいえ、あなたが好きな作品といえども読んだことのない人、観たことがない人もたくさんいるので、最初から「知っているでしょ？」「好きでしょ？」というトーンで話しかけないほうがいい。

また、長寿作品の場合は、今から読み出す（観出す）となるとかなり根気が必要なので、抵抗を持たれるケースもある。

悪気なく「読んでみて」とすすめても、相手は「強要されている」と感じてあなたを嫌煙する可能性だってある。

だから、「好きなものが同じ相手を探す」ことに過度にこだわると、あなたの恋愛商圏は狭くなってしまうかもしれない。

例えば、20代～30代の彼氏が欲しい場合、その世代の男性全てが商圏に当たるわけだが、20代～30代の東京在住の男性となると商圏は狭くなる。

つまり、そこに『○○○好き』というカテゴリーが加わることで、さらに商圏を狭めることにもなりかねない。

自分の「好き」を相手に押しつけるのではなく、会話の中から共通点を探せば、恋活や婚活がよりうまくいくと思う。