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恋愛に惑わされず、自身の意志と道を貫く、額田王ゆかりの聖地
理想の恋と人生が掴める 厳選「聖地・パワースポット」【第11回】
安倍晴明のように天地、神々、時の人と繋がり、時代を支えた偉人 額田王。2人の英雄 天智天皇・天武天皇に愛されましたが、恋愛に惑わされず、自身の意志と道を貫きました。そんな生き方に憧れる人に向く聖地です。
■譲れない想いを、額田王の神聖さ、使命を全うする生き方から学び、貫く
額田王は、近江の霊山 鏡山の神につかえる神官の家系、鏡王家に生まれた女性です。幼い頃より神々や自然と対話する力に優れていた額田王は、土地の守り神を祀る役目や、神々の声を神託として和歌に表し人々に伝える役目を担う、いわゆる巫女として過ごしていました。そして、その才能を見出され、天皇に仕えるべく宮廷へ。祭祀・神事に奉仕する、祭祀・神事・遊宴の場で神々の声を聴き、歌にして伝える女官として、活躍しました。現代に語り継がれている額田王の和歌は、祭祀・神事関係のものが多く、額田王は、当時の日本、宮廷に欠かすことができない、比類ない宮廷歌人であったことを、歴史から学ぶことができます。
宮廷では、天皇と神の間にたち、神の声を天皇に伝え、天皇の声を神に伝える役目にたち、天皇の代わりに公的な立場で歌を詠む任務を務めました。天皇の命により、天皇の心に身を重ね、想いを代弁する道を歩んだのです。天皇の心の内部を観るだけでなく、神々と人々を繋ぐ仲介者として、神の言葉や心を天皇の言葉にすることに徹し、遊宴などでは、天皇の立場を考慮しながら、宴の状況を汲み、座興を盛り上げる才媛として、縁の下の力持ちとなり活躍しました。
そんなかけがえのない立場に身を置いていた額田王は、必然と、中大兄皇子(天智天皇)・大海人皇子(天武天皇)を魅了し、愛されるようになります。しかし、額田王は、両者いずれにも、心を預ける、捧げることは生涯ありませんでした。それは額田王が、自身の神聖さ、与えられた使命、自身の意志と道を貫くためでした。
・家柄、生まれながらに、進むべき道、人生が決まっている人
・絶やすことができない稀有な役目を背負っている人
・愛や自身の想いより、他者の幸せ、仕事や生きがいを優先する人
この3つに当てはまる人は、額田王の生き方、ゆかりの聖地から、多くの力、学びを手にすることができるでしょう。
また、額田王の神聖さ、使命を全うする姿勢から、
・無為自然に、運命を嘆かずに生きる
・権力や環境、人の目を屈せず、凜として主張を貫く
・自身の生き方を曲げない、なにものにも揺るがされない強さを抱く
・利他の心を常に歩む
この4つを得、譲れない想い、理想の自分に気づくことができます。
■額田王ゆかりの聖地
・琵琶湖
額田王は、近江豪族で琵琶湖の水、水霊を祀る父方の鏡氏と、出雲のむかしより火を司る母方の額田部氏との間に生まれました。琵琶湖には「出雲の神様であり、日牟礼八幡宮の神様 大国主が、傷ついている白鷺を湖で助け、日牟礼八幡宮に火事の危険が迫ったとき、白鷺が湖の水を運び助けた」という伝承が語り継がれています。水と火のように、相反するものの間にあなたがたたされ、解決策を手にしたいとき、琵琶湖は、危機一髪を救う知恵や出会いを恵んでくれるでしょう。
・三輪山
飛鳥・大和を離れ、都を近江国へ遷す際、額田王は儀式の中で、三輪山の神への心と、遷都の決意と出発が幸に満ちるものであることを願う心を、和歌に表し、詠みました。三輪山の神へこれまでの加護を感謝し、その加護、慣れ親しんだ都から離れる別れを述べ、新しい都での繁栄を祈る和歌として、万葉集に記されています。
「味酒 三輪の山 あをによし 奈良の山の 山の際に い隠るまで 道の隈 い積るまでに つばらにも 見つつ行かむを しばしばも 見放けむ山を 情なく 雲の 隠さふべしや」「三輪山を しかも隠すか 雲だにも 情あらなも 隠さふべしや」。「新都に到着し三輪山の神の加護から離れるまで、三輪山が隠れて見えなくなるまで、眺めながら歩んでいきます。どうか、雲に隠れることなく姿をお見せください。そしてどうぞ、私たちをお守りください。」という意味です。
今まで掴んでいたものを手放すとき。自分を育ててくれた環境から離れ、新しくなにかを手がけるとき。不安や心細さ、恐れに打ち勝ち、前向きに歩む強さを、三輪山の神は授けてくれるでしょう。
・熟田津
伊予の熟田津で、筑紫へ船出する際の出陣の無事と戦勝を祈る神事・儀式が、御座船で行われました。額田王は「熟田津に 船乗りせむと 月待てば 潮もかなひぬ 今は漕ぎ出でな」と斉明天皇、中大兄皇子の立場に立って詠み、「月、ツキヨミヒメの力により、私たちの船と進むべき道である海が整いました。今こそ出陣のときです。」と士気を奮い立たせる言葉を伝えました。万葉集には、内海航海の人々がツキヨミヒメを貴び、祈りを捧げる和歌が記されています。思い描く人生が闇の中、真っ暗であると感じるとき、ツキヨミヒメを祀る聖地は、支えとなる哲学、光に気づかせてくれます。
また、熟田津は、斉明天皇と舒明天皇の想い出の石湯(道後温泉)の地。伊予国風土記には、斉明天皇・中大兄皇子・大海人皇子の伊予湯への行幸が記されています。想い出を振り返り、心を癒し、果敢に生きる力を、熟田津、道後温泉は与えてくれるでしょう。
■神様ゆかりの偉人・額田王の生き方と言葉をライフデザインに生かす
額田王は、使命を貫くために、自身に課したことが2つあります。
1つめは、男性を心から愛さないこと。中大兄皇子、大海人皇子にはそれぞれ、十人の妃がいたと言い伝えられています。また、中大兄皇子は、妹の間人皇女と、禁断の恋仲、男女の関係であったとも。さらには、額田王の姉 鏡王女は中大兄皇子の妃の1人でした。額田王は、心から人を愛さないことで、複雑な人間関係、恋愛関係に囚われず、嫉妬や中傷、策略がひしめきあう世界に染まらず、使命を全うできました。ときには、男性、恋愛を視野にいれない生き方を選択し、使命と向き合ってみてはどうでしょうか。
2つめは、母親という立場を手放すこと。日本書紀には、大海人皇子との間に娘 十市皇女を授かったことが記されています。しかし、立場や仕事を優先し、十市皇女を自分の手で育てることはありませんでした。額田王のように、厳しい選択であっても、人の目を気にせず、子どもにとってよりよい環境とはなにかを考え貫くことが、あなたらしく生きる1つの手段になるのかもしれません。
連載 恋活
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