女性が年上か年下で恋愛の形が変わる ~年の差カップルについて~

たった一度の人生だから幸せになりたい! 「今」の幸せだけではなく、人生という大きなスケールを通しての幸せを見つめ直してみませんか?
埼玉県が主催する「ライフデザイン支援講座」の講師陣が、各講座のエッセンスをお届けします。まずは、社会学者にして“元祖イクメン”の目白大学短期大学教授・鈴木健之先生の登場です。
この講座は、結婚に対する意識を高めること、そして実際に結婚に導いていくことを目的としています。
でも結婚だけにとどまらないのがこの講座のミソ。
ライフデザイン(人生をデザインする)という視点から、恋愛を含めた、結婚、妊娠、出産、子育てという重要なライフイベントをトータルにとらえようとするところに特色があります。
少子高齢化が急速に進む中、婚期が遅れていく晩婚化、結婚をしない非婚化も一般的になっています。その一方で、「できちゃった婚」などの早婚化も同時進行しています。
ここでは、ライフデザインという視点から、晩婚化・非婚化時代における結婚の意味について、皆さんと一緒に考えたいと思います。
講座は、9月から埼玉県でスタートしました。
●埼玉県、未婚者を応援するライフデザイン支援講座開講
http://www.pref.saitama.lg.jp/news/page/news140822-01.html
講座の中では、セミナーの他にグループワークなどの実践も行います。WEBではグループワークは難しいので、このコラムでは、セミナー部分からそのエッセンスをお伝えできればと思います。
さて、私は大学で「社会学」を教えています。
そこで皆さんに質問なのですが、社会をつくっている一番小さな単位は何だと思いますか?
タルコット・パーソンズという20世紀を代表するアメリカの社会学者は、それが「家族」だと言います。
あなたとわたし、好きで一緒で。
愛を育み、結婚。
ここから「家族」が始まります。
それでは家族の目的とは何でしょうか?
パーソンズは二つ挙げています。
一つめの目的は「子どもの社会化」です。何よりもまず、子どもを産み育てることが家族の重要な使命だということです。
もちろん、子どもを授からないカップルもいます。だとすると、何のための家族なのか?
答えは二つめの目的である「成員相互のパーソナリティの安定化」です。
わかりやすく言うと「家族それぞれが、安心できる」ということ。
1人1人が安心できる、安らげる、ほっとする。これが家族だというわけです。
好きで一緒で、というところから始まった家族でも、ハネムーン段階はそう長くは続きません(私の経験からしても)。「家族していく」なかにはいろいろなことがありますし、起こります。それでも、家族って「安心」できる場なのです。
逆に言うと、家族が「安心」できる場でなくなるということは、家族が家族でなくってしまうということです。
どうしてそうなってしまったのか。
そうならないために、どうすればよいのか。
ここを考えるのが、「社会学」なのです。
パーソンズによると、「あなた」と「わたし」をつなげるものには、四つの<メディア>があります。
一つめが<お金>、二つめが<力>、三つめが<愛>、四つめが<神>。
これらのメディアが人と人とを結びつけ、社会というシステムにおいて循環する、というわけです。
世の中はお金や力を持っているものが、幅を利かせており、財力と権力に物を言わせて持たざるものを支配する。これが現実のように見えます。
しかし、パーソンズは言うのです。こうしたお金や力によって結びつく関係は強大だが、長続きはしない、と。
「金の切れ目が縁の切れ目」とはよく言ったもので、「絶対的な権力と見えようとも、その権力はやがて腐敗する」とも言われています。利害や利権(損得勘定)で結びつく関係は強力なように見えて、実はもろくはかないものなのです。
あなたとわたし、好きで一緒で。
金でもなく、力でもなく、人と人とは愛でつながる。そこに「家族」という社会が始まります。一番大切なメディアは<愛>なのです。
とはいうものの、<お金>は、時と場合によって<愛>をぐらつかせてしまうほど強力なメディアでもあります。
結婚相手の条件に、高収入を求める女性は今でも少なくありません。
恋愛中も、結婚後も、<お金>はつねに愛をぐらつかせます。
「金の切れ目が縁の切れ目」
恋愛においても、これは真理です。
好きで一緒で。さあ、結婚を……。でも踏み切れない。
何が問題なのでしょうか? <お金>です。
ところが、金持ちの男性と結婚した女性が幸せかというと、必ずしもそうとは言えないようです。金の力に物を言わせて、好き勝手に振る舞う男性も少なくありません。暴力だって振るいかねません。
さあ、別れよう……。でも踏み切れない。
何が問題なのでしょうか? <お金>です。
パーソンズは言います。
<お金>というメディアは多すぎても少なすぎてもいけません。そして、ほかのメディアとのバランスが大切なのだ、と。
そして、愛をぐらつかせてしまうもう一つのメディアが<力>です。
<力>というメディアによって人と人とが結びつく関係をわかりやすく言うと、<決断する>力のことです。
恋愛で主導権を握る、リーダーシップを取るのは、今も昔も女性のようです(私自身の体験から言っているにすぎませんが)。
しかし結婚を決めるのは、今も昔も男性なのです。
男性は今も昔も女性と比べて結婚に対する意識が低いのですが、最近では、恋愛においても消極的な男性が増えてきて、「肉食系女子」、「草食系男子」という言葉も一般化しました。
「婚活」という言葉の生みの親である社会学者の山田昌弘さんも言っていますが、女性にとって、結婚というイベントは「生まれ変わり」のチャンス。
これに対して、男性にとって結婚というイベントは、これでようやく一人前、という社会的な認証程度の意味しかありません。当然婚活に対する意識も違ってくるわけです。恋愛においてリーダーシップを発揮できない男性が多くなっているのは間違いのない事実です。
では、<お金>や<力>に邪魔をされず、愛を強めるのに必要なものはあるのでしょうか……?
次回は、「二人の愛をより強くするメディア」についてお話いたします。
●イクメン教授が贈る!「愛から始まる社会学」/ライタープロフィール
鈴木健之
すずきたけし
目白大学短期大学部ビジネス社会学科教授。
専門は社会学。1992年のアメリカ留学をきっかけに、家族とパートナーシップの日米比較研究が研究フィールドのメインになる。
自他ともに認める「イクメン」であり、前職の盛岡大学では、男性育児休業取得者第一号となる。
著書に『G.I.D.実際私はどっちなの!?—性同一性障害とセクシュアルマイノリティを社会学!—』など。
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