マナーよりも大切なことって？「好感」は小さなことでも手に入る！

読めば一瞬で好かれる人になる！　心理学を活かした好感度UPテク【第１２回】

■「好感を得る」のは才能でもなんでもなく、とっても簡単だった！

私が大学院で「好感」をテーマにした心理学研究をするなかで気付いたのは、「好感を得ることは難しいことではない」、ということです。同性間、異性間に関わらず、人間関係で悩んでいる人はとても多いもの。そのため、「人から好感を得る」ことは一種の才能のようなものが必要であり、簡単に手に入れることは出来ないのだと感じていました。しかし、2人が出会って最初の一歩となるような、初期の好感については、実はちょっと意識するだけで大きく変わるのです。それが、本コラムで触れてきた、「表情」や「動作」、「座る位置」などといったものです。ちょっと笑顔を意識するだけで、ちょっとうなずきを意識するだけで、座るときにちょっと椅子の位置を確認するだけで……。そんな、ちょっとのことこそが、相手との関係において大きな影響をもたらすのです。

「人から好かれるのはとても難しいこと」だと、考えている人ほど、会話の内容や、行動の細部こそ重要だと考えています。たしかに、深く付き合っていく中で、それらは大きく2人の関係に影響を与えるでしょう。しかし、「主に会社内だけで会う相手」や、「初対面の相手」などにおいて、深い話をすることは少ないため、深く理解し合うことの方が難しいのです。だからこそ、表面的なことが重要な働きをもつのです。

■礼儀やマナーだけでは人の心は動かない

私は仕事柄、初対面の相手と会うことが多く、常に「礼儀正しくしなくては！」と意識していました。失礼のないように、言葉づかいを意識し、姿勢を正し、きちんとした身なりを整え、へらへらした表情をしない！などと、自分なりのルールを持って、お会いしてきました。そんななか、あるパーティイベントで色んな方に御挨拶をする機会があったところ、お酒に弱い私は、表情が作れなくなり、終始笑っているような状態でした。しかしながら、いつもとは相手の反応が違い、一気に親しい会話へと進むことができ、結果的に仕事に結びつく出会いが多く得られる結果となったのです。

このパーティイベントでの私と、いつもの私。どちらの方がビジネスマナー的にふさわしいかと言うと、いつもの私でしょう。しかし、礼儀を意識するよりも、まずは相手の話を楽しそうに聞き、大げさとも言えるほどリアクションを取るといった行動が、結果的にいつもの私よりも好感を得られる、きっかけとなったのです。

「好感」とは、つまり「好ましいと思う感情」です。感情を突き動かすのは、決まりきった表面的なマナーではなく、もっと根本的なものなのです。「失礼のないように……」と慎重になることも大切かもしれませんが、それだと「悪い人ではなかった」という印象に留まってしまい、「好ましい感情」までは動かすことが出来ないのです。ビジネスにおいては、「悪い人ではなかった」という印象だけで十分な場合もあるかもしれません。しかし、どんな関係においても、好感があるのとないのとでは、色んなことがうまくいくか、いかないかに関わってくるのではないでしょうか。

■「今日からひとつだけ変える」で、愛され度アップを狙う！

複雑に絡まった状況での対人トラブルは、当人だけに要因があるわけではありません。しかし、「初対面でうまくいかない」、「人付き合いが苦手だ」という場合は、自分の言動を少しだけ変えることで、事態を急速に変化させることが可能です。いきなりすべてを意識するというのは、とても難しいことなので、なにかひとつだけ変えてみることから始めてみるだけでも効果はあると思います。

たとえば、「うなずき」だけ意識してみようと思ったら、人の話を聞いているときは、最初は首や体の動きに集中して、意図的に動かすようにする。最初は、わざとらしく思われるかもしれません。しかし、そのうち、身体が慣れてきたら、自分で意識せずとも自然なうなずきが打てるようになるでしょう。決して、慣れない間に、「なんか自分に似合わないからやめよう」などと思わずに、根気強く続けてみてほしいのです。

仕事も、恋愛も、友人関係も、どのような関係性においても、お互いの「好感」によって発展し、継続されます。私たちの日常において、決して無視できない感情です。今よりもさらに楽しい日々を送るために、「好感」を得るための心がけとして、本コラムをご参考いただけると幸いです。

2016.02.29掲載