「人に共感してもらえなくても大丈夫」という強さが人間関係をよくする

読めば一瞬で好かれる人になる！　心理学を活かした好感度UPテク【第１１回】

■SNS依存症の背景にある、「同調行動」とは

最近、「SNS依存症」という言葉をよく目にしませんか？「“いいね”が少ないと不安になる」、「他の人の投稿が過剰に気になる」「SNSへの投稿を目的に行動する」など、SNSによって、心だけではなく言動までも振り回されてしまうことを指します。このような状態に陥ってしまう心理の背景には、どのようなものが隠されているのでしょうか。

まずは、ほかの人に自分を認めてもらいたい、賞賛されたいという気持ち。SNSを通すことによって、多くの人に「いいね！」をもらえることによって、自尊感情が高ぶり、ポジティブな感情を呼び起こします。一方で、「いいね！」がないと、不安になる背景には、人の「同調行動」が影響を与えていると考えられます。

人は誰かの意見によって、自分の考えや価値観を変えることがあります。たとえば、複数の友人たちの悪口話を聞いていたら、最初はなにも思っていなかったのに、つい自分も便乗してしまっていた、というケースなども、「同調行動」によるものだと考えられます。「正しい」と思っていたことも、複数人に「間違っている」と言われると、自分の意見も変えてしまうという結果を明らかにした心理実験もあるように、人の意見を無視して、自分の意志を貫き通すということは、実はとても難しいことと言えるのです。

人は周りの意見に同調することで、トラブルを回避し、円滑な人間関係を築き上げることがあります。しかし、他人からの同調を重視しすぎること、また、同調を求めすぎることは、かえってトラブルの原因となる可能性もあるのです。

■「分かってほしい」という想いが強いと、対人トラブルを招く可能性が！

「自分だけじゃない」、「自分の考えは間違っていない」と思えることは、自分への自信にもつながります。しかし、それを他人基準に片寄ってしまうと、分かってもらえない場合、自己否定をしてしまったり、または分かってもらえない相手に対して「むかつく」、「イヤな奴だ」と否定的な感情をもってしまったりと、過剰な反応をしてしまう場合があります。実際、SNSによる対人トラブルのなかには、このようなことが背景になって起っているケースもあるでしょう。

しかし、あくまでも価値観は人それぞれです。そのように頭のなかでは理解できていても、「いいね」や、リツイートなど、同調行動が数値化されてしまうSNSを前にすると、やはり人の反応は気になってしまうものです。そのため、SNSの普及の一方で、「SNS離れ」が加速しているのも、このような葛藤に苦しむ人がそれだけ多いためなのかもしれません。

■「同調してもらえない」ことを軽く受け流す強さが大切！

本コラムのテーマ、「好感度のアップ」を考えると、一時的な好感度のアップを期待するならば、人にできるだけ「同調」することで、相手からポジティブな気持ちを向けさせることが期待できます。しかし、あくまでもこれは表面的な好感度にすぎません。互いに違う価値観であっても、相手を尊重して、理解しようと働きかけることが、根本的な人間関係において重要なのです。

人から求めるリアクションについても同じことが言えます。あなたの意見に同調しなくても、相手はあなたを否定しているわけではありません。あくまでも、一部分の考えが違うということであり、相手とあなたとの相性に大きく関わることではありません。深く捉えず、「へ～、そういう考えもあるんだ」、「今回は分かってもらえなかったな」と、サラッと受け流す強さこそが、相手との適度な距離感を保つうえで重要であり、あなた自身を守ることができると言えるのです。

職場関係で悩んでいる友人や、ママ友との関係で悩んでいる知人の話を聞くと、「ある程度閉ざされた世界」という環境においては、その正解の多数派の意見が「正」となり、それに同調できない自分が「誤」と感じてしまうように思えます。閉ざされた世界だからこそ、相手がたった2～3人と少数であっても、自分に同調してもらえないだけで不安になってしまうのです。その場合は、できるだけほかの世界の人に相談して、自分の意見に自信をもつことが大切です。

「相手の言動をあまり気にしすぎないこと」、「相手から同調を求めすぎないこと」。この2つはとても難しいですが、人間関係において、「自己」と「他者」との間の葛藤は付き物だからこそ、意識することが大切なのではないでしょうか。