他人を妬まない大人の女の振舞い方を、ドラマ『警視庁ゼロ係』に学ぶ

ドラマに学ぶ、恋愛テクニック【第５3回】

他人を妬んだり、ひがんだりする女にはなりたくないと思いつつも、時々、どうしようもなく他人を妬ましく思う瞬間があるのが女という生き物。そこで、妬みをポジティブに捉えて、魅力的な女性に魅せる振舞いを、ドラマ『警視庁ゼロ係』に学びます！

ドラマ【警視庁ゼロ係～生活安全課なんでも相談室～ SEASON4 】

警視庁から厄介者払いされた人が集まる杉並中央署のなんでも相談室・通称『ゼロ係』は、頭脳明晰だがＫＹの小早川冬彦(小泉孝太郎)を中心とした個性派メンバーが、事件を解決していくコメディ。富樫倫太郎さん原作『生活安全課０係』シリーズのドラマ化です。

妬まない女は、終わってる？

杉並中央署のなんでも相談室(ゼロ係)の女性メンバーは、男勝りで口が悪い刑事・寺田寅三(松下由樹)と、空気を読まない毒舌の事務員・本条靖子(安達祐実)の二人ですが、性格が真逆である為、常に意見が分かれる犬猿の仲。よくテレビ番組に出演している女性ライターが殺害されるという事件の際も、靖子が殺害された女性のことを『美人だからって、最近よくテレビに出ていた』と事実を指摘すると、寅三は『女が妬むようになっちゃ、おしまいよ』と吐き捨て、それに対して靖子は『妬まないようになってる女も、終わりかも』と反論します。寅三の台詞も、靖子の台詞も、女という生き物の本質を突いていて、ドキっとした女性も多いはず。

人間だれしも、程度の差こそあれ、他人を妬む気持ちはあるものです。妬まれる行為をしないことが、周囲から嫌われない最善策ではありますが、昨今のＳＮＳにみられるように、『自慢したい』という気持ちを押さえられないのも人間の性であり、私達はその間で、空気を読みながら生きていると言っても過言ではありません。

女同士だから妬むの？

靖子から『妬まないようになってる女も終わりかも』と言われた寅三はカチンときます。もちろんそれは、『他人を妬まない人』ではなく、後半の『女として終わりかも』の部分に比重が置かれていることを察したから。寅三は、男の子が生まれると思い込んだ父親が、祝杯で酔った勢いで、役場へ出生届を提出したことで「寅三(とらみ)」という男のような名前になった逸話の通り、女性らしさは微塵もない、ノンキャリのたたき上げ刑事です。本人も、女を売りにするのを嫌いますし、女だからと特別扱いされるのも好きではない。だからといって、『女終わり』と他人に言われると傷つくのが複雑な女心というものです。

妬みにも色々ありますが、今回の寅三と靖子の妬みネタは『女性の美貌に対する妬み』でした。人は自分と全く共通点のない無関係の相手に対して、妬んだりしません。例えば、アメリカのトランプ大統領が大富豪であることや、若くて美しい奥様がいることは、自分とはかけ離れた遠い世界の話として『羨ましい』という気持ちさえわかないので、妬むこともありません。しかし、女同士のように、何か共通点がある相手に対しては、『羨ましい』という気持ちが、妬みに変わることはよくあることで、この感情をうまくコントロールできることが、大人の女としての器の大きさであり、魅力につながるともいえます。

妬まない大人の女の魅力とは

女が女を妬むというと、ネガティブな感情に聞こえますが、『羨ましい』と思う気持ちを抱き、近づけるように努力をすれば、それは向上心があると評価されます。

もちろん、女性の容姿は、生まれつき恵まれている人と、そうでない人がいるのが現実ではありますが、顔の美醜の評価は相対的なもので、自分の長所や個性を生かす努力をすれば、誰もがそれなりに美しくなれるものです。そして、その努力をするという行為が、女性を内面からも輝かせるので、『羨ましい』と思って努力する人は表情も明るくなり、『妬む』だけの人というのは、更に顔が歪んで醜いものになるものです。

美しい容姿の人を恨まず、羨ましいという気持ちに切り替えて、自分の個性を最大限に生かすことのできる大人の女性が、年齢を重ねても、『美しい人』と言われる女性と言えましょう。