あなたはついていけますか？　仕事に没頭する男と生きる覚悟を、ドラマ『下町ロケット』に学ぶ

ドラマに学ぶ、恋愛テクニック【第１7回】

女性も男性と肩を並べて、仕事をする時代になり、女性には「夢を追う男をサポートする」以外に、「自分自身で夢を追う」という、２つの選択肢ができました。「下町ロケット」では、主人公の妻と娘を通して、仕事に没頭する男と共に生きる「女の覚悟」を学びます。

ドラマ【下町ロケット】

町工場の経営者・佃航平（阿部寛）が、ロケットエンジンのパーツ開発などの夢を、社員達と共に追いかける男達の熱いドラマ「下町ロケット」。10/14から最新作シリーズが始まりますが、前回からのファンの方も、そうでない方も、今回は航平の妻と娘という女性二人の目線で観ると、また違った感動を得ることができると思います。

エリートの彼が、突然町工場で働きはじめたら？

佃航平（阿部寛）は、元々は宇宙科学開発機構の研究員。ロケットの打ち上げ失敗の責任をとって辞職し、父親から引き継いだ下町の工場「佃製作所」で、経営者として第二の人生を送っていました。家で待っているのは、母親と娘の利菜（土屋太鳳）。妻の沙耶（真矢みき）は、夫に愛想を尽かして、離婚したという設定です。

航平と沙耶は、同じ研究所の同僚であったことから、知的レベルも同じで、研究員としても切磋琢磨することもできていたベストパートナーだったはずなのに、夫が町工場で働くことになったからといって、離婚したことに疑問を感じた人も多いでしょう。環境が変わっても、家庭を守ろうとするのが妻の役目という考えは、今でも私達の心に根付いているものです。しかし、生活を維持していくことと、今までと変わらぬ愛情を夫に注ぐことができるかは別の話。では、夫に変化があった時、女性はどんな選択をすれば幸せになれるのでしょうか？

環境の変化で、内面が変化しても愛せるか？

航平と沙耶の離婚の理由は、環境の変化に伴って、航平がお金儲けのことばかり考えるようになったから。研究者肌の航平は、元々、お金に無頓着なタイプだったでしょうし、同じ研究者の沙耶も近い価値観だったはずが、一方が突然、「金、金、金」と言い出したら、嫌気がさしてしまうのは、女としてよくわかります。

航平の立場からすると、家族の生活費だけを稼げばよかった会社員時代と違い、全社員の家族のことまで責任を持つ立場になったのですから、仕方がないというより、むしろ責任感の現れであったとも言えますが、それを第三者が理解するのは、家族であっても容易ではありません。環境の変化により、内面まで変わってしまうのはよくある話で、学生時代に付き合っていた二人が、就職後にそれぞれ別の場所で働くようになると、破局するのと同じこと。更にいうなら、たとえ環境が何一つ変わらずとも、人間は常に変化しているので、相手を理解しようという気持ちを常に維持していないと、５年後10年後には、なぜ昔、その人に惹かれたのかさえ、思い出せないくらいの距離が広がってしまうので、「相手の変化に柔軟に対応できるか」は、全ての女性にとって他人事ではないのです。

女性に必要な覚悟とは？

下町ロケットでは、妻は離婚して、自分の夢を実現させる道を選んだ一方で、父親にずっと反抗していた高校生（途中で大学生になり就活）の娘の利菜は、『大人の男達が全員泣く仕事って何だろう？（それはきっと今の自分には計り知れない価値があるものに違いない）』という思いから、佃製作所の取引先である会社に就職し、父親と同じ技術者の道へと進みます。

一人の男を巡り、二人の女が出した結論は、奇しくも同じだったわけですが、そこに共通しているのは、自分の夢を叶える為に、自分自身で進む道を選択するという強い意志。それがたとえ、「夫（や家族）のサポートに徹する」という選択でも同じこと。昔のように「男に守ってもらう」「男の夢に乗っかって生きる」という他人任せの生き方で、女が幸せになれる時代は終わったということを、この男達のドラマは語ってくれているのです。