【chapter8　人の恋バナ】第31回　自分に似合う恋の相手を見つけたい！

恋活サプリWEB小説「幸せになれる恋の近道」

「素敵な男性と出会って、幸せになりたい」

「恋愛で遠回りをしないためのヒントが欲しい」

そんな女性の気持ちにやさしく寄り添い、

新しい恋に踏み出すパワーをくれる恋活WEB小説を作家の内藤みかさんが綴ります。

これまでの内容は、記事下のリンクへ。

■彼は優しい人だけど…

いい人と恋をしたら、きっと幸せになれる。

いろいろな人が、そう言っている。

優しい人が一番なんだと。

だけど、現実は、決してそんなことはない。

お金がある人のほうがいいに決まっているし、優しいだけじゃ、この厳しい社会を生き抜けるとは思えない。

そして、今、私の目の前で美味しそうにチョコを頬張っている萩山くんは、間違いなくいい人だ。彼は、困っている人がいたら、素通りできない。

きっと私が困っていたら、いつだって、自分の作業を中断してでも、助けてくれることだろう。

だけど、彼は、仕事ができるというわけではない。

どちらかというと、失敗ばかりして、叱られている、まだまだ新人のままの人だ。

同じ会社だから、彼のお給料がどのくらいの額なのかも、知っている。

そして私のほうが何年も先輩なのだから、年収も私のほうが高いはずだ。

やっぱり優しいだけでは、恋はできない。

私が彼を好きなのかどうかが、一番大事なことなんじゃないだろうか。

■萩山くんの昔の恋バナ

「さっきからずっと黙ってますね」

萩山くんは、私を不思議そうに見つめてきた。

「なんか言いたそうに見えます」

「別に言いたいことなんて、ないけど……でも、聞きたいことならあるかな」

「なんですか？」

彼は、身を乗り出した。

「なんでも話しますよ！　聞いてください」

「大したことじゃないの。萩山くんってどんな女の子と恋愛するんだろう？　ってふと思っただけ」

言ってから、私は顔を赤らめた。

これではまるで、私が彼のことを意識しているかのようだ。

「ごめんね、変なこと聞いて。想像できなかったから」

「普通の人でしたよ！」

萩山くんは元気良く即答した。

「僕は普通の人間なんで、彼女も普通の人でした」

「別れちゃったの？」

「そうですね。就職したらお互い休みの日が違うんで、全然会えなくて、終わっちゃいました」

「彼女って何をしている人だったの？」

「介護福祉士です」

そう言われて、妙に納得できた。

優しい萩山くんに、介護の仕事をしている女性。

とってもお似合いだなと思う。

■私に似合う男性って？

不意に、寂しさがこみあげてくる。

誰もが、自分に似合う相手を見つけて、カップルになる。

萩山くんだって、そうだったのだ。

それなのに私は……。

私が今まで付き合ってきた人は、私に似合う相手だと思っていたのに。

「まあ、恋愛できるヒマがあった頃が、懐かしいですよね」

萩山くんはそう言ってため息をついた。

「今は、仕事のことで頭がいっぱいで、恋愛が入る余裕なんて、どこにもないです」

私は心の中で頷いた。

確かにそうかもしれない。

萩山くんにとって今は、仕事を覚えることが、一番必要なことだと思う。

私は、どんな人なんだろう。

急に自分のことが、わからなくなる。

萩山くんはいい人だから、いい人の彼女がいたんだろうなと思う。

私は、一言で言えば、どんな人間なんだろう。

それがわかれば、お似合いの男性も、見えてくるのかもしれない。

「ねえ、私って、どんな人に見える？」

「なんですか？　急に」

萩山くんは驚いた顔をしつつもしばらく考えて、

「そうですね……、いい人だなって思いますよ」

と答えたのだった。

【chapter8】第32話に続く。