【Chapter2　新しい恋の準備】第5話　彼への出さない手紙を書き、終わった恋を忘れる

恋活サプリWEB小説「幸せになれる恋の近道」

「素敵な男性と出会って、幸せになりたい」

「恋愛で遠回りをしないためのヒントが欲しい」

そんな女性の気持ちにやさしく寄り添い、

新しい恋に踏み出すパワーをくれる恋活WEB小説を作家の内藤みかさんが綴ります。

これまでの内容【Chapter1　失恋の癒し方】（第1話から4話）は、記事下のリンクへ。

■失恋後の3日間

新しい恋って、どうやったら見つかるんだろう。

最近の私は、そのことばかりを考え続けている。

衝撃的な失恋から１週間が経った。

恋人に裏切られた私は、最初の３日は有給を取って、仕事を休んだ。

会社になんて、行きたくはなかった。

会社には、彼がいる。そして、彼が選んだ絵里子がいる。

２人に会いたくなかった。

妊娠が判明したことだし、２人はきっと周囲に結婚を発表し、祝福を受けていることだろう。

私が彼の恋人だったなんてことを知っている人はいない。

会社には秘密にしておこうと彼が言ったから……。

だから私は２人に「おめでとう」と言わなくてはならない。

でも、そんなこと言えそうもなかった。

だから会社を休んだ。このままずっと休み続けたいとさえ考えていた。

休んだ３日のうち、１日目は、ただ泣いて過ごしていた。

２日目は、部屋の片付けを始めた。彼からもらったものや、思い出の品を処分した。飾ってあった写真も外したら、随分部屋が、がらんとしてしまった。私の毎日は、こんなにも彼に彩られていたのだ。

そして３日目は、近くにあったスパに行って、温泉に浸かり、そこのレストランでヘルシーな野菜たっぷりのランチを食べた。

そうしたら、ふっと、会社に行ってみようかなという気持ちになれた。

■リセットしてやり直せる？

家に戻り、しばらく考え込んだ。

やっぱり会社には戻りたい。仕事は楽しかったし、友達もいる。

でも、彼と、絵里子には、会いたくはなかった。

幸せそうな２人の姿を見たくはなかった。

会社は確か妊娠８ヶ月目くらいまで働けるので、彼の子を宿した彼女の次第に大きくなるお腹を目の当たりにしなくてはならない。

そのつらさに耐えられそうもなかった。

やっぱり仕事、やめようかな。

でも、恋も仕事も、何もかも失ってしまいそうで、とても怖い。

リセットして、毎日をやり直すことができるんだろうか。

同じことをぐるぐるぐる考え続けていて、どうにも結論が出なかった。

明日には出社します、と会社には伝えてしまったけれど、行けるんだろうか。

その時にふっと、恋を失くした日に偶然入ったカフェのことを思い出した。

『恋の近道』という不思議な名前のカフェで、オーナーのみちるさんという上品で優しい女性が、教えてくれた、恋を忘れる方法……。

■彼に出さない手紙を書く

「彼に手紙を書くといいわ。実際には出さない手紙」

みちるさんは、そう言った。

彼に伝えたくても伝えられなかった気持ちを書くといいのだと。

私は思い切って書き始めた。

手近にあったオフホワイトの便箋の１行目に、彼のフルネームを書き入れる。

面と向かっては言えないから、手紙で書くね。

今まで、とても楽しかった。本当にありがとう。

誕生日のサプライズディナー、すごく、嬉しかった。

クリスマスに一緒に観たイルミネーション、綺麗だったね。

たくさんの思い出をありがとう。

できればずっとずっと一緒にいたかった。

でも、絵里子を選んだのだから、彼女と幸せになってね。

私も私なりに、幸せになる。

そう書き綴った。

泣きながら、でも、気持ちが溢れてきて、筆は止まらなかった。

そして書き終えた時、私はからっぽになっていた。

彼のいない、たったひとりの私になっていた。

【Chapter2】第6話に続く