男性に愛される、聞き上手女子の会話術

誰もが毎日身につけている下着。それを「パンツ」と呼ぶのはさほど躊躇いがないが、こと「パンティ」となると途端に気恥ずかしく、なにやら淫靡な香りすら漂う。
調べてみると、「パンツ」は男女問わず「下着」を指し、また衣服のボトムス、つまりズボンのことも「パンツ」と呼ぶので(ただし、イントネーションが異なる)、余計に恥ずかしさが無いのだろう。一方「パンティ」は女性用の下着を指す。しかも近年では「ショーツ」という言葉が普及したため、あえて「パンティ」と会話の中で用いることは少なくなったのではないだろうか。そのため、「パンティ」という言葉には、どこか秘密めいた印象を受ける。
そんな「パンティ」に関して、あの社会学者・上野千鶴子氏が論じた書があるというので、早速手にしてみた。『スカートの下の劇場 ひとはどうしてパンティにこだわるのか』(河出書房新社・刊)である。
そもそも「性器を覆うもの」という役割を担うだけだった下着が、長い歴史を経てどんどんと様変わりしてきた。本書では下着を通じて見えてくる男女のセクシュアリティ、ナルシシズムの差異に至るまで独自の視点で論じられており、少々難解な内容も展開されている。むむむ、さすが日本を代表する社会学者……と読後に唸ったわけだが、その中でも興味深い説があったので、少し紐解いてみたい。
「下着を管理(下着の選択とメンテナンス)しているのは主婦です。主婦以外の家族の他のメンバーは実質的に選択権を奪われています。下着の色、柄、形は主婦の専制下にあります。夫と子供は形についても色についても下着の選択権を原則的に持ちません。下着についてあれこれ注文をつけるのは”女々しい”ことだったのです。」
(『スカートの下の劇場』より引用)
上野氏曰く、「母親は息子が幼い頃から思春期に至るまでブリーフを買い与える。『我が子に押し付けたブリーフ・カルチャー』から逃れるために、男性は親元を離れた途端、自分の意志でトランクスを購入する」らしいのだが、本当だろうか? 気になって、夫に聞いてみた。すると、確かに幼い頃は、母親が買ってきたブリーフを履いていたが、次第に「白いブリーフ」=「幼さの象徴」と感じるようになり、思春期を迎える頃にはトランクスに変えたのだそう。彼の場合は、親元を離れる前にトランクスにチェンジしたわけだが、確かに成長と同時に下着への考え方が変わってくるというのには納得させられた。
ただし、本書が発行されたのは1989年。今から25年以上前のことなので、かなり時代も変容してきた。とりわけ2000年頃、カルバン・クラインを筆頭に爆発的ヒットとなった「ボクサーパンツ(ボクサーブリーフ)」の登場が大きいと思われる。ブリーフでもなくトランクスでもない、お洒落感すら漂うボクサーパンツを選択する男性が増えてきたことが、男女のセクシュアリティにどのように影響してきたのか、上野氏にぜひ聞いてみたいところではある。
「下着の管理は性器の管理につながります。下着を通して、主婦は実は一家の性器管理をやっているのです。ですからみだりに自由意志でパンティを買ってきてはいけないのです。自由意志でパンティを買うということはある意味で主婦の監督権に対する反逆です。」
(『スカートの下の劇場』より引用)
女性の場合も同様で、基本的には母親が買い与えた下着を身につけている。それが、徐々に自分の好みの下着を履きたいと思うようになり、こっそり自分のお小遣いで好きな下着を買いはじめる。しかしながら、少々派手なデザインのパンティを買おうものなら、母親から「この子も色気づいて……誰に見せるのよ」と反発を受ける、というのだ。この説には、大きく頷かされる。
大学時代、自宅から通っている女性は、まだまだ親に頼って生活する部分が多く、洗濯物も母親にお願いしているケースが少なくない。私も例にもれず、よほどの汚れ物以外は母親に託していた。そのため、バイト代を稼ぐようになり、今まで履いたことがなかったような可愛いデザインやちょっと大人っぽい下着を自分も履いてみたいなと憧れ、でもこんなパンティ、お母さんに見られたらどう思われるか……という葛藤の末、購入を諦めたことも一度や二度ではない。上野氏が言う「主婦の監督権に対する反逆」は、なかなかハードルが高いものだったようだ。
とはいえ、多くの母親が心配するように「色鮮やかな下着=セックス・アピールの要因」なのかと言われれば、必ずしもそんなことはない。上野氏も「女の子が夢みたいないろいろなパンティに魅かれる気持は、ほんとうはナルシシズムそのものです」と述べているように。何故ならば、下着というものは、誰かに見せるために履く場合もあるが、基本的には自己満足、つまりナルシシズムのため。可愛いパンティを履いていると、それだけで気分が良い。そういえば、赤いパンツを履くと運気や生命力が上がるので、試験や試合など勝負の日には、必ず赤パンを履くという人も珍しくない。
下着は、下半身というタブー視されてきたものを覆い隠すもの。であるが故に、本来ならば他人が介在しないモノであるはず。幼い頃は、母親の支配下にあった下着、それが心身ともに成長するにつれてその支配下から逃れ、自己の選択によって下着を選び取っていく。もしかすると、下着を自分の意志で選ぶようになったときが、自立の第一歩なのかもしれない。息子も娘もいる私にとって、今から「そのとき」が楽しみである。
(文・水谷 花楓)
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