「好きな人と結婚したい!」と願う人は多いもの。そのためには、自分が“愛せる人”になることも大切です。
お見合い相手を愛せるようになるには、どうしたらいいのでしょうか?
愛せるようになる前に、まず大前提として、相手が「生理的に受け付ける人かどうか」というのは重要なポイントです。
相手がどんなに容姿端麗で好条件でも、佇まい、匂い(※臭くなくても)、声質などから「お付き合いをするのは難しい」と感じてしまうことはあります。この部分は、努力で乗り越えられるものではありません。その場合は、「ご縁がなかった」と思うしかありません。
逆を言えば、そこをクリアしている相手であれば、「好きになれる可能性を秘めている」と言えます。
お見合い相手は、「いつかあなたの人生のパートナーになる可能性がある人」です。人とのご縁は、人智を超えた力によって、出会わされることが多いもの。出会った時点では「“結婚するご縁”かどうか」は分かりませんが、何かしら“出会う意味”があるから、お見合い相手になったと言えます。
そう思うと、相手はどんな人なのか、興味がわきませんか?
人は恋愛や結婚を通して、「愛されたい」「自分を受け止めてもらいたい」と願うもの。それは相手だって同じです。
だから、相手の「お休みの日はどんなことをしているのが好きなのか」「得意なこと」「将来の夢」などを積極的に質問してみましょう。恋愛、結婚対象にするかどうかはおいといても、人として興味を持つことは大切です。
どんな人にも「話していくうちに気分が良くなってくるネタ」があります。特に趣味など、好きなことの話は楽しくなってくることが多いもの。初対面の時は「相手が話していると楽しくなること」を探して、色々と聞いてみるといいでしょう。
その中で、相手のいいところを見つけてみるのが大切。趣味を追求する様子から、頭の良さを感じることもあれば、動物をかわいがるところで、優しい人柄が見えてくることもあるでしょう。
「相手に興味を持つ」というのは、“愛することの第一歩”です。なぜなら、「愛」の反対は「憎しみ」ではなく、「無関心」だからです。
それもあって、「相手の素敵なことを知りたい!」と思う気持ちを抱くと、相手にも伝わるし、関係が良好になりやすくなるのです。
ただし、相手に興味を持つことは大事ですが、初対面から相手の心に土足で入り込み、根掘り葉掘り質問するのは、NG。そういうときの質問は、「自分にとってのメリットの探求」から生まれる内容でもあることも多いもの。質問の裏には、「相手の存在が自分の人生にどう役立つのか?」「相手にはどんな欠点があるのか」を探る気持ちが隠されているのです。
もちろん、お見合い相手であり、いずれ結婚する可能性がある相手であるなら、色々と知りたいと思うことは当然のことです。
でも、「相手の素敵なところを知りたい」と思って聞くのと、「自分にとって役に立つ人なのかを探りたい」と考えて質問するのとでは、たとえ同じ内容であっても、相手の心証は変わります。意外と「思いは伝わるもの」です。
だから、自分ではスマートにさり気なく聞いているようでも、後者のような利己的な思想を抱いていると、相手に不愉快な思いを抱かせてしまうことは多いのです。
たとえ配偶者であっても、家族であっても、相手には相手の人生があり、その中では主役です。
それを理解しないで、結婚することでの「自分のメリット」ばかり考える人は、自己中心的な言動をしがち。相手を「自分のために利用する」という考えを持っている限り、本当の意味で人を愛することはできません。共に過ごすことで、自分だけでなく「相手の人生も輝かせること」を願えるようになったほうが、幸せになりやすいでしょう。
お見合い相手と2回目以降に会うときは、事前になにか1つでも「相手が喜ぶこと」を考えて、実行するといいでしょう。
例えば、相手が珈琲好きなら、手土産として美味しい珈琲豆をプレゼントするとか。高級なものである必要はなく、相手が気軽に受け取れて喜ぶものを持参するのがオススメ。相手は、「会っていない間に、自分のことを考えてくれたんだなぁ」と、ちょっとした愛を感じることもあるでしょう。
「一緒にいて楽しい」と思ってもらうことも、相手が喜ぶことの1つ。会った時に会話が弾むように、前もって相手が面白がりそうな話のネタを用意しておくのもオススメです。
例えば、「こんなお店で、こんなユニークな料理を食べた」とか、「こういった作品を見て、こんなところがすごかった」というような、驚いたり、発見したりした話でもいいのです。「へぇ!」と思わせるような情報は、人を楽しませやすいものです。
喜ばせるためにも、会うときはオシャレをしていくことも大切。もちろん、自分らしくない恰好を無理にする必要はありませんが、誰もが素敵な人と一緒にいると気分が良くなるもの。逆を言えば、「一緒にいるところを知り合いに見られたくない」と思われてしまうような身なりで行ってしまうと、次に会える可能性は低くなります。
自分のセンスに自信がない人は、お店で清潔感のある服装を選んでもらったり、美容院に行って自分に合う髪型にしてもらったりするといいでしょう。
そうやってまずは自分が「相手を喜ばせる」という“ささやかな愛”を相手に捧げることで、相手も愛を与えてくれるようになることは多い。そういった積み重ねで、愛が育まれていくことは少なくありません。
会う回数を重ねていったら、自己開示していくことも大切です。相手が内面を見せてくれるようになると、「自分に心を許してくれているんだ」とうれしくなる人は多い。信用されていると思いますしね。
逆に、自分も相手に受け止めてもらうことで、さらに愛情を抱くことは多い。「この人なら自分のことを分かってくれる。受け止めてくれる」と安心するからなのですよね。
もちろん初対面から重い話をするのはNGですが、「この人なら信用できる」と思えるようになったときは、心を開いていくことは大切。そういうところから、絆が生まれることは多いのです。
私たちは愛することを理解しているようで、分かっていないことも多い。「恋と愛の違い」が分かっていなかったり、欲望を愛だと勘違いしていたり……。
だから、改めて「愛とは何か」を学ぶ必要があります。
書籍『愛するということ 新訳版』(紀伊國屋書店刊、エーリッヒ・フロム著)には、「愛することは“自然に”できることではなく、“技術”が必要だ」といった内容が書かれています。
<誰かを愛するというのはたんなる激しい感情ではない。それは決意であり、決断であり、約束である>
人を好きになっても、時が経つにつれて愛が冷めてしまうのは、相手の魅力のせいだけではなく、「自分に愛せる技術(能力)が足りない」ことも原因かもしれません。
「自分にとって都合のいい人だから好き、そうでなければ嫌い」というのは、自己愛に過ぎず、相手を本当に愛しているわけではありません。
人の感情というのは、生まれては消えていくもの。だから、「恋する→気持ちが冷める→別れる」といった恋愛を繰り返しがち。
でも、本当に「人を愛する」ということは、「“ありのままの相手”を受け止め、成長と幸せを願う」こと。それは“無償の愛”であり、“条件付きの愛”ではありません。どんな姿になっても、相手を愛し抜くという「決意」が大切なのです。
人を愛せるようになるためにも、まず私たちは、自分自身のことをきちんと愛せるようになる必要があります。
自分を愛せないと、人のことを愛せる余裕はありません。また精神的に自立をしていないと、自分で自己を幸せにできないので、自分の幸せのために相手を利用しようとしてしまいます。それではいい関係は築けません。だから、愛せる人になるためにも、精神的に成熟していく必要があります。
愛を理解できるようになると、相手が「人を愛せる人かどうか」も見抜けるようになってきます。
幸せになりたければ、結婚相手は、「人を愛せる人」にしたほうがいい。それは、絶対条件です。愛し、愛される生活を手に入れたいものですよね。
愛は“幸せ物質”。だから、人を愛し、自分の内側に愛が増えれば増えるほど、幸せ感が増えます。
まずは、自分が人を愛せるようになって、幸せな関係を築きたいものですね。
コラムニスト・ひかり
2011年からずっとAll Aboutの恋愛・人間関係ガイドとして活躍し続け、2018年にAll Aboutの「2017年度MVP(恋愛部門)」を受賞。30、40代の独身女子に支持される、等身大コラムニストとして人気。
今年は、「“子供おばさん"にならない、自分らしい恋愛」(ステップモア)を出版した。
ブログ「ホンネの “子供おばさん"日記」と4コマ漫画「子供おばさん」で、アメブロ公式トップブロガーとしても活動している。
※2018年3月〜2019年2月の1年間に交際・婚約・結婚を理由に退会届を当社に提出されたお客さま(会員同士・会員外)