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【chapter7 本当に大切な人はどこにいるの?】第28回 会社のクールな年上男性と恋の予感

【chapter7 本当に大切な人はどこにいるの?】第28回 会社のクールな年上男性と恋の予感

恋活サプリWEB小説「幸せになれる恋の近道」

 

「素敵な男性と出会って、幸せになりたい」

「恋愛で遠回りをしないためのヒントが欲しい」

そんな女性の気持ちにやさしく寄り添い、

新しい恋に踏み出すパワーをくれる恋活WEB小説を作家の内藤みかさんが綴ります。

 

これまでの内容は、記事下のリンクへ。

 

■おしゃれをして、彼行きつけのカフェへ

 

川尻さんが入ったおしゃれなカフェに、偶然を装って私も入ってみてから、今日で1週間が経つ。

 

あんまり頻繁に同じカフェに出入りするのも変かなと思い、私はあの日から店に行っていない。

お店から借りた傘は、いつでもいいと言われていたし。

そろそろいいかなと、今日は、1週間ぶりに、カフェに向かう。

 

川尻さんは正午になった途端、小走りに外に出て行った。

きっとあのカフェに行ったのだろう。私は何分か遅れて店に向かった。

一緒にカフェに行くのを会社の人に見られて、あれこれ聞かれるのも面倒だったから。

 

今日の私は、出社前に何十分もかけて支度をしていた。

髪をゆるく巻き、リップにはグロスもしっかり塗っている。

川尻さんが見て、ちょっとでも可愛いと思ってくれたら、嬉しい。

 

私はいつのまにか、無口な彼に、惹かれ始めていた。

突然の雨が降った時、私のために傘をお店から借りてくれた時のように、彼は、いざという時には、素早く行動してくれる人だと思う。

こういう人と、恋愛をしてみたいなと素直に思えた。

だけど……。

 

■川尻さんと一緒にいた女性は…

 

カフェに入った途端、私の体は固まった。

川尻さんが、いた。

そして、川尻さんと同じテーブルには、綺麗な女の人が、いた。

 

川尻さんが私に気づいて、手招きした。

今すぐお店から出て行きたいのに、呼ばれたからどうしようもなく、私はおずおずと2人に近づく。

 

「あの、傘、ありがとうございました」

「ああ、店に返しておいて」

 

川尻さんはそう言った。

 

「このかた、同じ会社の?」

「そう。隣の課の女の子」

「そうなのね」

 

真っ赤なルージュを塗った唇が微笑んで「こんにちは」と動いた。

私も慌てて、口をぱくぱく「こんにちは」の形で動かしたけれど、声が、出てこない。

 

「婚約者なんだ」

 

彼の唇から、聞きたくない言葉が流れてきた。

ほんの少し照れた顔をしている川尻さんが、寂しい。

 

「わあ、婚約されてるなんて、初めて聞きました」

 

わざと明るくはしゃいだ声を出す。

 

「誰にも言ってないからね。でも、そろそろ言わないとな。秋には、結婚することになりそうだから」

「おめでとうございます……」

 

お祝いを言いながら、泣きそうになっていた。

私、何を妄想していたんだろう。

川尻さんには、こんなに素敵な女性がいたのに……。

 

 

■始まっていない恋を勝手に妄想していた

 

私は、川尻さんとカフェを出た。

婚約者さんは用事があると言って先にカフェを出て行ったので、私たちは2人で歩くこととなった。

「婚約者に会ったとか、誰にも内緒で頼むよ」

「大丈夫です。秘密厳守します」

 

私はおどけたように答えた。

ふざけていないと、泣いてしまいそうだったから。

 

ほんのちょっと彼をウォッチしていただけなのに。

まだ何も始まってなんかいなかったのに。

私、何を夢見ていたんだろう?

恥ずかしくてならなかった。

 

みちるさんだって、ただウォッチするだけでいいと言っていたのに。

まだまだ恋のリハビリ期間だから、一人の人を観察して色々考える時間にしてねと言っていたのに。

 

私は、いつのまにか、先を急ぎ、川尻さんと交際するつもりになっていた。

頭で勝手に空想して、現実の世界がどうなっているか、全然考えなかった。

だから、こんな手痛い傷を受けてしまった。

 

そして、私は見られてしまったのだ。

川尻さんと歩いているところを。

萩山くんに……。

彼は、仕事の用事があったのだろう。文具店で買ったらしい、大きなポスターサイズの模造紙を小脇に抱えて、会社に戻る途中だった。

 

彼は驚いたように私を見ていた。

いたたまれない思いでいっぱいだった。

 

 

【chapter8】第29話に続く。

 

連載 幸せになれる恋の近道

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    ライタープロフィール

    内藤みか

    ないとう みか

    作家/脚本家/イケメン評論家。山梨県出身。
    『イケメンと恋ができる38のルール』(ベストセラーズ)、『年下オトコ×年上オンナ』(ゴマブックス)など著書80冊以上。
    ラジオドラマ脚本『婚活バスは、ふるさとへ』(YBS)で文化庁芸術祭優秀賞&日本民間放送連盟賞優秀賞。
    舞台脚本『男おいらん』はマンガ化や小説化も。イケメン電子写真集『Japanese Hot Guys』ではカメラも。
    「内藤みかのイケメンブログ」

    http://ameblo.jp/micanaitoh/

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